地球温暖化防止とオゾン層破壊の原因となるフロン類(CFC、HCFC、HFC)の排出を抑制するため、2015年4月より「フロン排出抑制法」が施行され、フロンを利用した第一種特定製品(業務用冷凍冷蔵機器、業務用エアコン)を使用する全ての管理者(所有者など)が対象となる 6つの義務が科せられました。
管理者は、1年間に排出されるフロン類量を算定し、CO2換算で1,000t-CO2以上のフロン漏えいが生じていた場合、毎年度7月末日までに、漏えい量を事業所管大臣に報告をしなければいけません。
機器の損傷等を防止するため、適切な場所への設置、設置する環境の維持・保全を計る必要があります。
フロン漏えいまたは故障が見つかった場合は、適切な専門業者によるフロン類の充填、修理を実施する必要があります。修理をしないままでのフロンの充填は原則禁止となります。
整備に際して冷媒としてフロン類を充塡、又は回収する必要があるときは、第一種フロン類充塡回収業者に委託しなければなりません。委託を受けた第一種フロン類充塡回収業者は、整備時充塡・回収の際には、充塡証明書、回収証明書を第一種特定製品の管理者に交付しなければいけません。
業務用冷凍冷蔵機器、業務用エアコンであって、冷媒としてフロン類が充填されているものです。
例)店舗オフィス用エアコン、ビル用マルチエアコン、設備・工場用エアコン、ターボ冷凍機、自動販売機、ショーケース、製氷機、鉄道車両・航空機用エアコン等
※家庭用エアコン、カーエアコン(大型・小型特殊自動車、被牽引車等は除く)は対象外です。
業務用冷凍空調機器の多くにはフロンガスが使用されています。CFC、HCFCといった一部のフロンガスは大気中に放出されるとオゾン層まで到達し、オゾン層を破壊してしまいます。現在では、オゾン層を破壊しない代替フロン(HFC)への転換が進んでいますが、この代替フロンは大気に放出すると二酸化炭素の数百倍から数千倍以上の大きな温室効果があるため、地球温暖化防止のためフロンの排出を抑制するとともに、ノンフロンや温室効果の低い物質にしていくことが重要となっています。
この問題は世界的に対策が求められており、モントリオール議定書では、オゾン層の保護を目的として、CFC、HCFC等のオゾン層破壊物質(ODS)の生産及び消費等の規制を行っており、2016年10月にはモントリオール議定書が改正(キガリ改正)され、先進国は2036年までに代替フロン(HFC等)を2011~2013年基準で段階的に85%削減するという国際ルールが合意されました。
また、2015年のパリ協定にて、各国が温室効果ガスの削減目標を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務が科せられ、日本は2030年までに2013年比で26%削減することを宣言しました。
日本国内では、2001年に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法(フロン回収・破壊法)」が制定され、業務用冷凍空調機器の整備時・廃棄時のフロン類の回収、回収されたフロン類の破壊等が進められてきました。そして、2013年6月に法改正し、名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」へと改め(2015年4月1日施行)、これまでのフロン類の回収・破壊に加え、フロン類の製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたる包括的な対策が取られるようになりました。
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最終更新2019年7月